どうして?親が貧乏な老後を送ることに!高齢者の貧困の現状
2018.4.6
今、日本全体に貧困問題が広がっています。若年層はもちろん、親の老後にも貧乏が大きな影を落としつつあります。
貧乏な親を助けてあげたくとも、その子供たちもまた経済的な余裕がないのです。
貧困問題の中でも、高齢者にスポットを当てたエピソードをご紹介しましょう。
この記事の目次
「子供に迷惑は…」貧乏に向き合いながら生きる老後の親たち
夫婦で月の生活費は24~25万円ほど必要。でも、年金は二人合わせて20万円程度。つまり、毎月4~5万円の赤字になってしまいます。
すでに預貯金はなく、年齢的にも体力的にも働くことはできません。
借金すらできない状態のため、できることは生活を切り詰めることだけ。
とはいえ、現状でもギリギリなのに、どこを切り詰めたらいいのでしょう。
食費や水道光熱費はとにかく節約に節約を重ね、趣味や娯楽にかけられるお金などありません。
医療費を削るのは難しい。その上、家は老朽化して、あちこち修繕しなければなりません。
「その時」を考えたら、葬儀にかかる費用も確保したいのに。
子供はいるけれど、できるだけ迷惑はかけたくないのです。
でも、この状態では子供に頼るしか他に方法は無いのでしょう。
そうは言っても、今のご時世子供たちだって余裕はありません。
切り詰めた日々を送る中、唯一の楽しみは年金の支給日に和食のファミリーレストランで夫婦での食事。
二人で3000円ほどのささやかな贅沢だけが楽しみです。
貧乏な親の老後、介護する子供たちにも大きな負担が
年金以外の収入は無く、貯蓄もゼロ。
なんとか年金でギリギリとはいえ入居できる老人ホームはあったものの、要介護になっても子供たちは面倒を見てはくれません。
それでも、施設に入れたのなら良い方で、経済的に余裕が無かったり、空きがなければ在宅介護するほかありません。
子供がいても、もともと別居していた場合はそれも難しくなります。
民法第877条では「直系血族及び兄弟姉妹」は、お互いに扶養する義務があることとされています。
「直系」ですので、法的には妻が夫の両親を介護するのは「義務」ではないということになります。
介護を放棄したり拒否すると、刑法218条により「3ヵ月以上5年以下の懲役」が科される可能性もあります。
とはいえ、実際には仕事の関係や経済的な事情で、実の子供であっても介護を放棄したり拒否したりするのは珍しくありません。
「親不孝だ」と非難する声がある一方、経済的・身体的な負担が大きいのも事実なのです。
年金だけでは貧乏な老後しか送れない。親世代の悲痛な現状
かつて日本では祖父母を含めた3世代の同居が当たり前でした
昭和の後半から進んだ核家族化が進み、子供が自立して親の元を離れると、親だけの二人暮らしになるケースがほとんどです。
そして高齢になり、夫婦のどちらかが無くなると独居老人となってしまうのです。
内閣府が発表した「平成25年版高齢社会白書」によると、65歳以上の高齢者がいる世帯は、平成23年現在で1942万世帯。
そのうちの3割が夫婦二人暮らしで、2割以上は独居世帯です。
しかも、一人暮らしの高齢者の半数近くは、年収が120万円以下。
支給される年金が生活保護水準よりも少ない世帯も非常に多くなっています。
13万円の生活保護水準よりも、年金が少ない場合は、その不足分を受給できる制度がありますが、多くの高齢者は利用していません。
高齢者がその制度の存在を知らないことが多いのです。
少ない年金で生活する高齢者の中には、光熱費や冷暖房を節約するために、日中は公民館など公共施設で過ごす人もいます。
病気や要介護の状態でも、必要な治療や介護を受けられていないケースも多いのです。
親の老後は施設に入ってもらう?貧乏だとそれもかなわない
2011年に家計経済研究所が行った調査では、親を在宅で介護する場合の介護費用は月平均37000円ほど。(介護保険を利用し、自己負担した金額)
そのほか、医療費や介護用品などに32000円。
合計すると、これだけで69000円の出費になってしまうのです。
介護保険には上限額があり、それを超えると全額自己負担になってしまうため高額になるのです。
多くの人がその上限を超え、自費での介護サービス利用をしているのです。
このペースで出費が続けば、多少の蓄えがあったとしても数年で底をついてしまうでしょう。
こんな介護貧乏に陥るケースが、今増え続けているのです。
常時介護してくれる特別養護老人ホームなどの利用料は、月額3万円~13万円と比較的低価格。
しかし、入居待ちが100人以上という例も少なくないのです。
有料老人ホームになると、利用料は20万円から40万円。設備が良いものになると数百万円から数千万円が必要になる桁違いの施設もあるのです。
子供の教育費が親の老後を貧乏にする?長いスパンでの計画を
人生において大きな借金をする機会として「住宅・教育・老後」があげられます。
昔は、30~40代夫婦が住宅を建て、子供に教育費がかかり始める頃に親が亡くなり、遺産を充てるといったケースが多かったものです。
ところが、現在は平均寿命が延びて、親の遺産をあてにできることが少なくなっているのです。
高齢の親には公的年金が支給されますが、近年は少しずつその受給額も減らされており、不足した生活費をどう工面するか頭を痛めるところです。
若い頃から少しずつ貯めていた預貯金を切り崩すケースがほとんどですが、それも底をついてしまい「長生きのリスク」や「老後の貧困」といった表現もよく耳にするようになりました。
自分たちの老後を見据え、教育にかけられる資金についても計画性を持つことが必要になります。
子供とは「お金についての教育」だと考えて、学費としてかけられる金額を具体的に話し合っておくことも選択肢の一つではないでしょうか。
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