鉄VSステンレス!強度が上なのはどっちなのか徹底調査!
2018.6.4
金属の代表である「鉄」と「ステンレス」・・・でも、強度を比較した時にどっちの方が上なのでしょうか?
ステンレスの方が錆びないということは知られていますが、鉄よりも強度があると言えるのでしょうか?曲がりやすさで比べるとどうなのでしょうか?
鉄VSステンレス対決!その特徴と強度について詳しく調べてみました。
この記事の目次
鉄とステンレス・・・強度の違いは?ステンレスの方が曲がりやすい?
変形のしにくさを表す弾性率は、鉄もステンレスも約200GPaで大きな違いはありません。
ただ、ステンレスは圧力を受け続けたときに一定のレベルに達すると急に弱くなる「降伏」という現象がなく、その意味からするとステンレスの方が強いと言えるのかもしれません。
ただ、これはステンレスが全く曲がらないということではなく、鉄がぐしゃりと大きく曲がってしまうときに、ステンレスは「いくらかましだ」という程度です。
物質の強度を比較するとき、単に硬さを比較するわけではありません。特に構造物に使われる場合は「粘り」も重要です。
他にも、熱伝導率や線膨張係数といった数値も考慮しなければなりません。
ステンレスと鉄では硬さや変形耐性は似ていても、「粘り」という点ではステンレスは不利です。
鉄パイプは強い力を加えると抵抗しながら曲がりますが、アルミやステンレスで作られたパイプの場合はポキッとまがるという違いもあります。
鉄とステンレスの強度の比較・・・錆びないのはステンレス!
鉄よりもステンレスが使われる場合の大きな理由は、錆に強いということでしょう。
鉄は時間経過で酸化により錆びてしまいます。
一方ステンレスは非常にさびにくいのです。
「ステンレス」という言葉は、「汚れる、錆びる」を意味する「ステン」と、「〇〇しない」という意味の「レス」を組み合わせています。
つまり、ステンレスは直訳すると「錆びない」という意味になります。
ステンレスは、鉄にクロムやニッケルと言った元素を加えた合金。
クロムを加えることで、表面にごく薄い酸化被膜を形成することで耐食性がつよくなります。
クロムを加えた場合は耐食性が向上し、ニッケルやモリブデンを加えるとその性質はさらに向上します。
そして傷が付いても水や酸素がある環境なら皮膜を再生することができ、ステンレスを美しい状態で保つことができます。
鉄とステンレスの強度を比べることはできない?
金属の強度は、別の合金元素を加えると強度や硬度を高め、熱にも強いものにすることができます。
しかし、一概に「強さ」といっても、強度・硬度・耐性など比較するポイントによって違いもあります。
高所からの落下や、強く叩きつけられるような衝突の瞬間、「壊れないかどうか」だけでなく「衝撃を吸収できるかどうか」という「衝撃値」という数値もありまS。
一般的に金属は、硬いものほど衝撃に弱くなります。
丈夫でしなやかな金属にするには内側を柔らかくし、外側を硬くするといった技法もあります。
長く使われる場所に使われるものであれば、繰り返し使われたときの壊れにくさを見る「疲労強度」も重要な指針になります。
その他にも、用途や場所によって「耐摩耗性」や「耐熱性」が求められる場合もあります。
また、金属は温度が高くなると柔らかくなってしまい、強度が失われることが多く、常温において硬度が高くても必ず「強い」とは言い切れないのです。
ステンレスとアルミの特徴を説明します!
■ステンレス
鉄とクロムの合金であるステンレス。
キッチンのシンクに使われているおなじみの素材です。
特徴として…
・加工が難しい
・強度が強い
・錆びにくいが価格は高め
・磁石には付きにくい
ステンレスは錆びに強い表面に塗装をせずに使うことが多く、傷が付いたら塗装で隠せないため加工には細心の注意が必要です。
■アルミ
1円硬貨や飲料の容器として毎日目にするアルミニウム。
鉄の3分の1という軽さが特徴です。
一般的に書こうされるアルミ製品は、他の物質も加えた合金ですが、1円硬貨はアルミニウム100%です。
・溶接加工は難易度が高く素人には無理
・強度が低く“柔らかい”
・軽い
・磁石にはつかない。
といったことがあります。
鉄とは、実は「鋼(はがね)」のこと?
日本語では、金属をとりあえず「鉄」と言ってしまう事もありますが、その多くは「鋼(はがね・こう)」です。
本当の「鉄」は、実はめったにお目にかかれないものなのです。
というのも、鉄鉱石から取り出された純粋な鉄(Fe)は、とてももろく、そのままではとても使えたものではありません。
そのためさまざまな工業製品に加工するためには、炭素を加えた合金として使うのが一般的です。
鉄と炭素を合わせた合金を「鋼(はがね)」と言い、これが通常「鉄」と呼ぶものなのです。
こんな話を聞くと「鉄のような丈夫な身体」なんていう表現が使いにくくなってしまいますね。
ちなみに、更に炭素量が多いものは「鋳鉄(ちゅうてつ)」と呼ばれます。
つまり、私たちが普段「鉄」と呼ぶものは、本当は合金の「鋼」であり、鋼は郷土があり加工がしやすい。そして、そのままでは参加で錆びてしまうという特徴があります。
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